内観的整体セラピー 2 中立的視点

 
 観察する側とされる側の互いの要求を知り両者の関係の様相を理解するとは、つまりは中立的視点に立つということです。これが自分の身体の健康や治療となると、どのような視点なのでしょう。
 それは医者やセラピストの視点に立つということです。

 

 医者は患者の「早く治したい」というニーズに応えようとする一方で、患者の身体の状態を診察しどういう治療でどれくらいで治るかという診たてを立てます。患者はこの診たてと身体の状態を受け容れるかどうかが治癒へのプロセスを左右します。受け容れるとは、医者から言われたことに悲しんで絶望したりほっとして喜んだりすることではなく、身体のありのままの状態を冷静に受け止めることです。もちろん、名医とヤプ医者など医者の診たてによっても左右されますが、ここではそのことは別問題となるので触れません。

 

 しかし他人が他人の身体を診るならともかく、痛みや熱に悩まされている当人がそれを冷静に受け止めるなんて無理ですね。だから痛みや熱の症状が強いときはそれを緩和するために薬を飲んでも良いのです。西洋医学を嫌う人は薬を飲むことを拒絶し、整体や他の自然療法に頼ろうとしますが、痛みを受け容れることが出来ないことについては同じなのですから、応急処置についてはどちらでも良いのです。症状が緩和されればいくらか心は落ち着いてきます。落ち着いてきたところでさらに「これから先どうなるんだろう」という不安を取り除いてゆきます。そのためには深く長い呼吸を行い、わからないことについては考えないようにすることです。ですから呼吸法を身に着けておくことは内観にとても役立ちます。