内観と骨盤のつながり

 内観というと、意識の作業だから骨盤の働きとは関係ないと想うでしょう。
でも実は、自分の心を内観したり体を内観するという行為は、骨盤を動かすのです。

それは、まず「注意を集める」ということ自体、骨盤の閉じる動きになるからです。逆に言うと骨盤が閉じるという運動がうまく行われないと「集注」が散漫になるのです。
それから、「内側に意識を向ける」というのも同じ骨盤の動きなのです。


外に意識を向けるのは腰椎1番になります。

世間の骨盤ブームは、「骨盤はこういう状態が理想だ」という「意識で認めた観念に従って」骨盤を「意識で考えた、イメージした体操によって」整えようとしていますが、これは実は腰椎1番あるいは5番という上下運動あるいは前後運動につながります。
上下傾向の人や前後傾向の人にとっては、まぁこれでも良いのですが、あらゆる骨盤運動の大元となる開閉運動とはつながりません。


なので、開閉運動とつながる、開閉運動を促し、野性的本能を取り戻したいなら、骨盤を外から客観的に眺めるような視点ではダメで、骨盤を内観する、体の内側に注意を向けて、直感に従うことがポイントなのです。なんて言うととても難しいようですが、それはみなさんが「ことばや数値、図形」で示されたものから何かを連想することには慣れていても、ことばも数値も形もないような縛とした雰囲気、空気、気配から何かを連想することをあまりしたことがないためです。でも、それをしたことがないことという生活習慣自体が骨盤をさびつかせる原因なのです。


ところで、日本式の瞑想つまり座禅の姿勢は、お尻の下に座布団を敷いて腰が少し高くなる姿勢で座り、すると腰が前のほうに反る姿勢になりますが、この姿勢は腰椎4番に力が入ります。ところが膝を開いてあぐらの姿勢にすると骨盤が開き、心と体を弛緩させる作用になります。この骨盤の開きが「とらわれない心」を生み出します。
つまり、「体の一点に、あるいは座るという行為に集注しながらもそういう自分にとらわれない」ために骨盤の協力を得ているわけです。これはまさに、野生の本能からの知恵です。

時々、骨盤のインナーワークもしてみてください。何がなんだかよくわからなくても骨盤の開閉の動きは良くなりますよ。