生命感覚を取り戻す 4

生命感覚を取り戻す上では、心の習性というものを知っておく必要があります。

心には、良いも悪いも、「はまる」という習性があります。「はまる」とは知らず知らずのうちに、そのことに、その行為に夢中になる、取りつかれるということです。
「依存症」とは、これが病的になって意志によるコントロール不能となった状態です。


男性なら、仕事依存かもしれないし、女性なら恋愛依存かもしれない。
これらはまだ病気とは言えませんが、どこか健康的な雰囲気から遠いように感じられます。

「はまる」とか「依存」というのは、その行為の元にある感情、寂しさや悲しさ、怒りなどに自分が支配され、その感情が作り出す世界から抜け出せないのです。意識では抜け出したいと思っているわけですが、抜け出すことが出来ない。


それはなぜかというと、いろいろ不満を並べながらも、その世界が結構居心地が良いからです。どこかでそれが快いのです。快いけれど、このままではいけないと思っているし、その世界にいる自分が嫌いなのです。
嫌いなのだけれど、変わることが出来ない。変わる自分がイメージ出来ないというのは、その世界にいる自分を誰かに認めてもらいたい、なぐさめてもらいたいのです。

もしそこから抜け出したいなら、こうした自分の心が演出している自己矛盾のストーリーを、その物語のすべてを、自分で認めてゆくこと。
そして、その物語が終るまで生き続けることです。

すると、その不幸の中に、良さが発見され、心が静かになる一瞬が訪れます。


心が静かになれば、自然とその世界に居ることに「飽き」が来ます。今まで、ぎくしゃくしながらも関わっていた人間関係も切れてくる。
人間関係が終るときというのは、感覚がずれて来るとき。
好きとか嫌いというのでなく、何か別世界の人に感じられてくる。
今まで興味を示していたものにも、関心が薄れてくる。
アルコール依存であれば、お酒を飲むこと自体にしらけてきたりする。


「何をやっていたんだろう、私は」心が静かになって、そういう気づきが訪れると、自然とその世界から離れることが出来ます。