葛藤を大切にしよう

 
 前の「心の悩みは整体で、体の悩みはセラピーで」のところで、感じ方を変えるということを書きました。しかし、後になって随分と難しい注文を読者にしてしまったなぁと反省しています。

 実際、自分の感じ方を変えるなんて簡単に出来ることではありません。それはある意味、自分を成り立たせている要素をすべて変えることですから。

 それに本当は、誰も自分を変えたいなんて思ってないんです。自分は変えずに体だけ変ってほしい、相手に変ってほしい、環境が変ってほしい、とみんな思っているだろうと思うのです。

 
 だからこそ、自分を変えようという段になると、変えたくないという自分が現れる。今の在り方を変えようとするときは、とてもエネルギーが要ります。
 

 今つきあっている彼と別れるということも、そして離婚するというときも結構葛藤があり、葛藤している間は決断がつかない。


 でも、こうした葛藤があるからこそ、自分の中における矛盾に気づくことが出来る、人の良い面と悪い面の両方を見ることが出来る。

 そして、葛藤を乗り越えたときというのは、自分の中のいろいろな側面をすべて認めることが出来る、人の良い面も悪い面もまるごと受け容れることが出来る。 
 
 別れるかどうかというのは、あるいは仕事などで転職するかどうかというのも同じことで、自分のすべてを、相手のありのままを、勤めている会社や社会の良いところも悪いところも、全部受け容れられて、感情的なしこりが消えたとき、その関係は終わるのです。 

 ということは、離れて暮らしていても、相手に対する怒りやわだかまりがあるうちは、別れたとは言えないし変わったとも言えない。なかなか治らない疾患を抱えているときは、大概背後にこうした関係の問題を抱えています。 

 
 このように、感じ方というのは、自分のすべてを、相手のありのままを受け容れた瞬間に変るのです。

 
 そして、感じ方が変わると体も変わる。体が変わって本当に感じ方が変わったと客観的にも認められる。つまり他人から、あなた変わったねと。