骨盤から腰へ 生物から人間へ 1

さて、骨盤の微妙な動きは腰椎、腰にある5つの骨の動きを誘います。
この5つの腰骨が動くことによって、意識をもった人間としての活動になります。


骨盤の開閉は、腰椎4番という骨盤からふたつ上にある骨の動きを誘います。詳しくは、この骨から股関節へ付いている「腸腰筋」という筋肉が収縮することによって骨盤がさらに締まり、伸びることによって骨盤は拡がるわけです。
この腰椎4番の動きによる骨盤の締まりと拡がりから、「生きる意欲」が湧いてきます。生きる意欲から何かに対して気持ちを集中する感覚が生じます。

この「生きる意欲」とは、誰かから意欲を促されたり、誘惑されて生ずるのではなく、自分の体の裡から理由なく湧いてくるのです。
というか、体の裡から意欲が湧いてくる状態を野口整体では理想とし、そうなるように体を調整するのです。

例えば、あなたが誰かと恋愛したとするとき、まず「恋愛したい」という欲求が沸いてきて、それから彼と出会い、その彼が自分が獏と描いていた理想の相手のイメージと一致したとき、「この人だ」と感じるわけです。これが野口整体で認める「正しい恋愛のバージョン」です。
ちなみに、恋愛の欲求は腰椎4番の動きが胸椎6番に伝わり、骨盤の収縮と同時に心臓の拍動が起こるわけです。これが「胸がときめく」メカニズムです。

なんて、野口整体では心と体の働きを説明するのですが、ムードがないかもしれませんね。まぁ、もう少しムードのないお話にお付き合いください。

骨盤が拡がるときは、意欲の対象は特定の誰かよりも多数の人々とか環境というような、気持ちが広がってゆきます。このようなときは、自分から積極的に外へ働きかけるよりは、受身的に、しかし消極的なのではなく、人を「受け容れる」ような包み込む気持ちが生じます。いわゆる「母性」の感覚です。


骨盤の締まりは、前への動きにつながり、腰椎5番という骨盤のすぐ上にある骨の動きを誘います。この5番の動きは、呼吸の動きをさらに活発にし、手や足の動きにつながります。
歩くという足の動きは腰椎5番に関係し、もし足に痛みやしびれがあるときは5番の骨がずれていることをまず疑います。

肋骨は胸で胸骨という骨とつながり、胸骨から鎖骨がつながり、鎖骨から肩甲骨という背中にある三角の骨につながります。これらをつないでいる筋肉が足の動きと呼吸の動きに連動して腕を動かします。

この骨盤と肋骨と手足が連動して動くとき、人は行動的になるのですが、同時に「損得を計算する」という頭の働きを誘います。なぜそうなのかはわかりませんが。


そして、骨盤が前へ出る動きが片側で起こるとき、体は捻れるわけですが、さらに腰椎3番という5つの腰骨の真中にある骨が動きます。このとき、わき腹にある筋肉が収縮することで体はさらに捻れる動きをするのですが、この動きは、がんばるとか緊張するとか、力むという全身の筋肉の緊張を誘います。

生理痛や神経痛など「痛み」を伴う体の異常は、この3番の骨が関係します。

そして、この3番の動きは「闘争する」という気持ちを生じさせます。また、気持ちを定める意志とか決断も3番と関係します。
優柔不断な、態度がはっきりしないときは腰痛3番が弛んでいて締まらない(いわゆる腰抜け)、反対に強情で気持ちを切り替えることが出来ないときは3番の周囲が硬くなっている、つまり腰が強張っていることが多いのです。
そして、腰痛や腎臓の疾患も3番が関係します。