骨盤の働きその3 生物としての機能の働き

開閉運動は、さらに骨盤が前方へ動く、後方へ動く、という動きと上へ上がる、そして下がるという動きを派生させます。

前後への動きは、肺や気管支の機能、呼吸器の働きを誘います。ところで、この呼吸という働きは、肺や気管支で行われる前に皮膚を通じて行われます。この皮膚を通しての呼吸が生命活動の原初にあります。さらに心臓の働きもまた、骨盤の開閉運動から起こります。そして心臓が動くことで血管の運動が起こります。血管が膨らんだり縮んだりすることでポンブの働きをすることで全身に血液が送られるわけです。

さて皮膚呼吸と心臓の働きから、肺や気管支の呼吸が起こります。肋骨を動かす筋肉の運動です。その肋骨の動きは上半身を前後に揺らします。この肋骨の動きと骨盤の前後の動きが連動して起こるわけです。


この前後の動きは片方ずつ起こることもあります。この片側ずつの前後の動きは水分の代謝、つまり体に必要な水分を吸収すると同時に必要以上の水分を汗と尿で排泄する、腎臓と膀胱の機能を誘います。また骨盤の片側の前後の動きは体を捻る動きを誘います。腎臓と膀胱が働くときは、体がかすかに捻れるのです。

ぬれた雑巾を絞ることで水を抜きますが、まさに水の排泄も体を捻る運動と関連します。


そして骨盤が上へ上がる、下がるという動きがあります。この上下の動きは人間が二本足で立って歩行することにより起こったものです。つまり四足の動物にはない骨盤の動きです。
この骨盤が上へ上がる、下がるという動きは大脳の働きを誘います。大脳の働きは、私たちに「意識」というものを与えます。意識は考える、空想する、つまり言葉とイメージを構築する働きです。

私たちが抱く「自己=セルフ」というイメージは、本来、骨盤の働き、体の内部の働きから生まれています。


さて、この上下の動きが片側ずつ起こるとき、消化器の運動を誘います。これは、食べるという本能的行為から、食べたものを消化し排泄するまでに関わる内臓の働きが関係します。
骨盤が片側ずつ上下するとき、私たちの体はかすかに右や左に傾き、体重は右足か左足どちらかに
余分に罹ります。空腹のときは右足に、満腹のときは左足に体重がかかっています。

食べておなかが膨れるにつれ、重心が左へと移動し、食べたものが消化され排泄される流れのときは左から右へ重心が移動していきます。


ところで、食べるという行為は本能的なものなはずですが、骨盤の上下の動きがこれを誘うという人体のメカニズムが、私たちの食生活を本能的なものよりも意識的な行為にしているのではないかと私は思っています。
つまり、栄養価を調べて食べるとか、おいしいかまずいか他人に聞いたり世間のうわさを確かめたり、食べることでストレスを解消したり、反対に心配事があると食欲がなくなるなど、とても私たちの食生活は大脳=意識の働きの影響を受けているように思います。


そして、この骨盤の動き、5mくらいの幅のかすかな動きなのですそんなかすかな動きが実は全身の働きを司っているのです。